第3回 鳥取県医療情報研究会

日時: 平成14年2月17日午後1時

場所: 倉吉交流プラザ - 視聴覚ホール、第1研修室およびボランティア交流室



一般演題

座長: 石津クリニック 石津吉彦


画像ファイリングシステム「i catcher system」の導入経験

伊藤内科胃腸科医院 伊藤慎哉

近年ORCAを始めとし、カルテの電子化構想が進む中、電子カルテに連動可能な画像ファイリングシステムの導入も注目を浴びてきていますが、画像ファイリングシステムは価格的には高価な物が多い中、(有)カスタネット社の画像ファイリングシステム「i catcher system」は、WINDOWSのパソコンにボードを増設する事で対応し、市販ソフト(PictureGear5)を使用することにより低コスト抑えられているにも関わらず、検索の機能はかなり充実しており、画像種別、日付、患者ID、撮影日での検索が簡単にでき、画像スライドショーもできます。

取り込みもフットスイッチを踏むだけで電子内視鏡の静止画や腹部エコーの静止画を自動的に次々に患者さん個々のキャビネット取り込むことができ、この画像ファイリングシステム「i catcher system」を、当医院に導入したので報告いたします。


市販データベースソフトによるレセプトチェックの実際

河本医院 河本知秀

はじめに

レセプトをフロッピーディスクで提出する際問題となるのはレセプトチェックである。当院では東芝製レセコン(Mepio)を使用しているが、レセコンに組み込まれたソフトでレセプトの病名や薬剤のチェックを行うと膨大な紙と時間を必要とし使用に堪えない。レセコンのデータは「レセプト電算処理」によりCSV形式で取り出すことができるため、自分のパソコンに取り込むことによりレセプトのデータを自由に扱えるようになり、この問題を一気に解決できる。この操作を行うために、石津氏が独自に作成したソフトと市販のデータベースソフト(ファイルメーカプロ)を使用した。

操作の流れ

  1. レセコンから提出用データをフロッピーディスクに落とす
  2. パソコンにデータを読み込む
  3. データベースソフトで、病名漏れなどを一括処理してチェック
  4. 病名漏れなどの不備をレセコンで訂正し、提出用フロッピーを作成

メリット

  1. この操作に紙は一切不要である
  2. 月末でなくても随時チェックすることができるため、時間の空いたときにできる
  3. チェック項目は自分で自由に作成できる。査定された内容は新たにチェック項目を追加作成することにより二度と繰り返すことがなくなる。


シンポジウム ORCAがもらたすもの

座長: 河本医院 河本知秀


ORCAがもらたすもの

中井医院 中井一仁


ORCAの現実と未来

安陪内科医院 安陪隆明


ORCAがもらたすもの

中山小児科内科医院 中山裕雄

平成13年11月よりORCAの本試験医療機関として参加した。サポート業者の設置したORCAの使用経験をもとにORCAの中山式育て方について検討した。オープンソースであるという最大のメリットを生かしてORCAをJavaに移植すれば、お好みのOSで動作し、その要望も多い。今回平成14年1月発売された新iBookのMac OS X 10.1.2にPostgreSQLとORCAデータベースをinstallしJavaに移植したORCAの一部を実際に動作させるデモンストレーションを行った。

MacOS X上で動くJava-ORCA(movファイル)

MacOS X上で動くJava-ORCA(wmvファイル)


ORCA先進県 島根県より

コメンテータ: 松江市 - 小竹原内科 小竹原良雄

今回、オルカの現状報告と今後の展開について述べさせていただきました。私は、準試験運用機関としてこのオルカプロジェクトに関わり1年近くなります。昨年5月に、初めてオルカをみたときと比べ、現在は格段の進歩を遂げてきたと思っています。はじめは、オラクルをデータベースソフトとして用い診療行為入力などを検証しておりました。7月にはポストグレスへの変更に相当難儀しましたが、何とかSTAFFの懸命の作業の結果、オラクルに匹敵するくらい迄に8月には成長を遂げ日本語入力の不備を補うべくATOKの実装のための各種変更や、ミドルウエアーであるパンダの劇的な変更等が11月に行われ、安定感が格段に進歩をとげました。12月にはプリントアウトのためのOCRBフォントの作成に忙殺され、年明けより最後の展開となるオープンコボルへの変更などのめまぐるしい作業工程の結果、やっと今月末にはOSからアプリまで、すべて著作権のかからないオルカが誕生しました。

やっと皆様にお約束通りの、すべてオープンなオルカスタンダードが提供できる段階に達しました。まだまだ、細かなバグ取りや画面展開などの改善は日々進行してますが4月の本格運用は達成できると思っています。3月からは、本格的に各ベンダー間の県別垣根もなくなり各社営業活動や自由な発想によるオルカの改変など各社、各会員の自由な発想と提案によるオルカが今後、生まれてくると思います。

DEBIAN-LINUXやPOSTGRESS-SQLにこのORCA-PROJECTが果たした役割はとても大きく新境地を開いたことはとても喜ばしいと思います。日医執行部や日医総研の先駆的発想と行動力にはただ驚くばかりです。まだ現状のオルカは各会員の自由な発想をすべて取り入れ、使いやすくなっているとは申せませんが、基本構築ができたことで、今後はよりレセコンとしてのアプリケーションの改善に力が注げることになります。月数を重ねるごとに改善してゆくと思います。夏までには、病名と薬剤のチェックや禁忌リスト、自賠責や労災の実装なども予定してます。従来のメーカー主導によるレセコン開発とは比べようもないほどの自由度を持ったツールを我々は手にしたことになります。

例えば、血液生化学DATAや内視鏡写真、レントゲン写真などのファイリングソフトとの連携(今回は広島山下先生の開発されたRSBASEをモデルとして話しましたが)や他のまだまだ埋もれているソフトなどをオルカを核として構築してゆくことが出来ると思います。メーカーからの囲い込みから解き放され、我々が医療を行う上で大切な各種情報などを自分自身で管理運営し日々の臨床に役立てていける方法と手段を得たことはとても喜ばしいと思います。

オルカはやっと大海原に出たばかりです。今後、会員皆様の暖かい励ましと利用、アイデアなど参加型の改善を除々に進めて、大きく成長させてゆこうではありませんか。

最後に、今回発言の機会を与えて頂きました鳥取県情報委員会の各先生方にお礼を申し上げます。ありがとうございました。



特別講演 医療情報ネットワークの現状と将来

鳥取大学医学部附属病院医療情報部部長 近藤博史

座長: 阿部クリニック 阿部博章

1999年厚生省通達の通達により診療録の電子化が認められ、2001年には経済産業省の電子カルテネットワーク事業、日医のORCAプロジェクトなど急速に電子カルテとその一つの発展系の地域医療ネットワークが具体化してきています。この状況の中で現状と将来についてミクロ的、マクロ的に考えてみたいと思います。

最新の情報技術を医療に利用する場合の注意点は、その技術においてどのような精度で医療情報が伝達できるかを把握することです。医用画像では、デジタル化、圧縮、表示において情報の伝達に劣化がありますし、文章情報でも同様に情報伝達の精度が変化すると言えます。

その技術の利用ではDICOM, HL-7, IHE、標準病名などの標準化、運用における情報の公開と守秘が重要です。これらについて病院情報システム開発、四国4県電子カルテネットワーク事業、衛星利用在宅医療システム、IHE−J委員会の経験から具体的にお話しします。


HOMEへ